ロシアから日本に対して極めて興味深いシグナルが送られた。2月28日にモスクワでNHKの石川一洋解説委員が、セルゲイ・ナルイシュキンSVR(ロシア対外情報庁)長官と対談した。SVRは旧KGB(ソ連国家保安委員会)第1総局(外国担当)の後継機関であり、プーチン大統領はKGB第1総局の出身だ。ナルイシュキン氏は彼の側近である。

この対談は、ナルイシュキン氏のイニシアチブによって行われた。「個人的性格」のものとされているが、ナルイシュキン氏は石川氏に録音と公表を認めた。プーチン大統領の了承を得ずにナルイシュキン氏がこのような接触を記者と行うことは考えられない。こういう方法で、クレムリン(ロシア大統領府)が安倍晋三首相に宛ててシグナルを送ったのだ。

石川氏を対談の相手に選んだのも偶然ではない。石川氏はロシア語に堪能で、日本とロシア双方の権力中枢に食い込んでいる。このような人物がナルイシュキン氏との会談について記事を書けば、日本の外交政策の意思決定に当たる人々が読んで対ロ政策に反映されることを、ナルイシュキン氏は計算しているのである。

石川氏は3月11日と13日の2回に分けて「東洋経済オンライン」にナルイシュキン氏との対談についての記事を書いた。日ロ関係にとって重要なのは、13日の記事だ。

まず興味深いのは、ナルイシュキン氏が内閣情報調査室を高く評価していることだ。