たかい・ひろゆき 神戸大学経営学部卒業、住友商事入社。非鉄金属本部で17年間、うち7年間は英国ロンドンで貴金属や、銅・アルミなどベースメタルの取引を担当。その後、金融事業本部長やエネルギー本部長を経て、住友商事グローバルリサーチ社長。2018年4月から現職。(撮影:梅谷秀司)

新型コロナウイルスの猛威が世界の金融市場を崩壊させている中、原油市場も未曾有の試練に直面している。3月20日、米先物市場WTI原油は1バレル当たり19.46ドルまで売り込まれた。2002年以来18年ぶりの安値だ。米国の株価は下落したといってもトランプ大統領が就任した3年前の水準に戻ったにすぎず、油価の暴落に比べれば生ぬるい。

02年当時は新興国の勃興による資源需要増大に供給が追いつかず商品価格が超長期にわたって上昇し続けるというスーパーサイクル論が登場し、米国ではまだシェール革命は起きていなかった時代である。筆者が原油先物を本格的に取引し始めたのもその頃であり20ドルの油価には感慨深いものがある。

年初にはイラン情勢の緊迫化で60ドルを超えていた原油がなぜ一瞬のうちに3分の1にまで急落したのか、その背景を整理するとともに今後を占ってみたい。

今回の急落には2つの要因が同時に作用している。