日本福祉大学 福祉経営学部教授 藤森克彦(ふじもり・かつひこ)1965年生まれ。長野県出身。国際基督教大学教養学部卒業。同大学大学院行政学研究科修士課程修了。日本福祉大学にて博士号(社会福祉学)取得。2017年から現職。みずほ情報総研主席研究員も務める。専門は社会保障政策。著書に『単身急増社会の希望』など。(撮影:尾形文繁)

新型コロナウイルスの感染拡大は、経済に深刻な影響を与え始めている。感染拡大が長引けば、リーマンショック以上の実体経済の悪化も懸念される。

リーマンショックで思い出されるのは、2008年の「年越し派遣村」だ。会社の宿舎に住み込んで働く非正規労働者は、仕事を失うと同時に住まいも失った。これは、日本の低所得者向け住宅政策がいかに脆弱であるかを露呈した。

言うまでもなく、住宅は生活の基盤である。経済危機の中でも、居住が安定していれば、何とかやり繰りできる人は多い。また、失職した人が就職活動を始めるにも、住所が必要になる。つまり、居住の安定は、市場経済の中で自立した生活を送るために不可欠だ。

これまでの日本の住宅政策は、住宅ローン減税など持ち家取得を支援する政策が中心だった。しかし、持ち家取得に比重を置いた政策は、住宅を購入できるだけの資力を持った家族世帯を主な対象としており、借家に住み続ける人々への支援にはならない。