疾病は殺人者である。そして習近平中国国家主席が率いるような、全体主義体制における秘密主義もまた殺人者なのである。写真は3月19日、上海にて(撮影:REUTERS/Aly Song)

過去数千年にわたって人類が直面してきたあらゆる困難のなかで、疾病は常にとりわけ残忍で計略に富んだ敵だった。

疾病は歴史の形成に大きな影響を及ぼしてきた。アメリカ先住民は、スペインの征服者がメキシコと南米にもたらした病気によって大きな被害を受けた。ジョン・キーツの詩にうたわれる「屈強なコルテス」には、天然痘、麻疹、インフルエンザ、チフスなどの致死性疾患が同行していた。新世界の先住民はユーラシア人のように数千年をかけて動物やその疾患と共に進化したわけではなかった。そのため結果的に、16世紀、17世紀にアメリカ先住民の人口は約90%も減少した。

ナポレオン軍の敵だった「チフス将軍と結核将軍」

一方、ヨーロッパでは、疾病との闘いは中世末期からルネサンス期初期にかけて政治権力と国家統治の発展を促す要因になった。

イタリア北部の都市国家やその他の地域の当局は、黒死病など致死率の高い疫病を、公衆衛生の強化と隔離の強制によって食い止めた。ヘンリー8世のイングランドや他のヨーロッパ諸国は隔離病院を開設した。後に、アメリカ合衆国は、黄熱病その他の流行病との闘いを一つの理由として、公衆衛生サービスを発展させた。

軍事作戦にも疾病が伴った。ナポレオンの筆頭格の将軍であるネイ元帥は、1812年にモスクワに向かって進軍し、そして後に退却したフランス軍を打ち負かしたのは「飢饉将軍と冬将軍」と記述した。しかし、実は「チフス将軍と結核将軍」も退却の一翼を担っていた。

100年に3回はインフルエンザパンデミックが発生

疾病は狡猾で情け容赦ない様相を呈することがある。人類の取り組みにもかかわらず、過去500年においてインフルエンザパンデミックは平均して100年に3回、世界中で猛威を振るってきた。

そのなかでも最悪の事態となったのが1918年の「スペイン風邪」だ。「スペイン風邪」というのは誤った命名で、実際に最初の症例が記録されたのは米カンザス州だ。このパンデミックによる死者は全世界で5000万人以上に上った可能性があり、これは第一次世界大戦の死者数を上回っている。

当時の子どもたちは縄跳びの際に身の毛もよだつ歌を歌っていた。

小鳥を飼ってた。 I had a little bird,

名前はエンザ。 Its name was Enza.

窓を開けたら I opened the window

イン・フル・エンザ(エンザは飛んでった)。 And in-flew-Enza.」

過去の経験から何を学ぶことができるか

さて、現在COVID-19新型コロナウイルスが世界に襲いかかっている。私たちは過去の経験から何を学ぶことができるだろうか。