調査、熱帯、化石、空気、健康……。普段は気にかけていないものの、「この言葉はどうやってできたのだろう」と考えると、よくわからない言葉がある。漢字は中国から来たものだが、言葉そのものや意味が中国と同じものもあれば、違うものもある。漢語が作られた謎に迫ると、日中を中心とした世界史が見えてくる。
──「漢語」とは、「漢字を使った熟語」ということですか。
厳密に言うと、漢字を「音読み」した言葉です。中国での漢字の読みを日本人の耳で聞いて、日本式に取り入れたのです。例えば、「入口」は日本では訓読みで「いりぐち」と言いますが、音読みで「にゅうこう」とは言わない。これは、古い日本語の「いる」と「くち」が合わさった和語です。
──中国から来たものだろうと漠然と思うくらいで、日頃はその言葉の由来まで考えません。
そうでしょう。そこで読者の関心を著者のほうからかき立ててみたいと考えたのが、本書を執筆した動機の1つです。
日中双方は長い交流を続けてきましたが、漢語のでき方は実は同じではありません。漢字表記を共通にする言葉である「日中同形語」の作られ方には、時代や人の往来などさまざまな要因があります。とくに近代になってできた漢語の中には、日本と中国のどちらでできたものかよくわからないものがあります。
日本人が作った漢語が中国で使われるケースも
──そういった漢語は、日中をどのように往来したのでしょうか。
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読み頂けます。
ログイン(会員の方はこちら)
無料会員登録
登録は簡単3ステップ
東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
おすすめ情報をメルマガでお届け
トピックボードAD
有料会員限定記事
連載一覧
連載一覧はこちら
ログインはこちら