週刊東洋経済 2020年3/28号
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欧米で新型コロナウイルスの感染が拡大し、世界経済はマヒ状態に陥りつつある。各地での渡航制限や消費悪化に加え、原油急落や欧米・新興国での金融危機リスクが襲っている。世界はどんな地雷を踏みかねないのか。名うての識者に見立てを聞いた。

1 米国
景気後退突入の瀬戸際 連銀は流動性危機警戒
小野 亮 みずほ総合研究所 欧米調査部 主席エコノミスト

トランプ大統領は3月13日に「国家非常事態」を宣言し、最大500億ドルを投じてウイルスの検査や治療体制を強化することを決めた。民主党が策定した数十億ドル規模の経済対策法案も承認した。対策費の大幅増額は安心材料だが、感染拡大や経済活動抑制に対する市場の不安感を払拭するのは難しい。

FRB(米連邦準備制度理事会)は15日、事実上のゼロ金利政策と量的緩和政策(QE)再開に踏み切った。すでに短期金融市場へ1.5兆ドルの追加資金供給を実施するなど政策を総動員している。CP(コマーシャルペーパー)のスプレッド急拡大など民間企業の信用不安が高まる中、FRBは銀行を通じた資金繰り支援に危機感を持って手を差し伸べ始めている。

だが、鎮静化できる保証はない。今回の危機がそもそも金融問題ではなく、公衆衛生上の問題だからだ。

トランプ氏が表明した給与税減税については、2011年と同様に従業員負担分の税率を6.2%から4.2%に引き下げればGDP(国内総生産)を年間0.7%押し上げる効果がある。ただ外出自粛などで減税は効きにくく、民主党の反対で議会審議も難航しそうだ。