コロナショックへの影響を緩和する経済対策が注目されている。考え方について岸田政調会長に聞いた(撮影:尾形文繁)
新型コロナショックの経済影響緩和策を安倍政権に積極的に提言している自民党政務調査会。その要諦を岸田会長に聞いた(取材は3月12日)。

 

──政府は「先手、先手」と言っているが、「後手、後手」との評価もある。安倍政権の新型コロナウイルス対策をどう評価しているか。

新型コロナウイルスは今、全世界的に大きな懸念として広がっている。発生地である中国だけでなく、韓国、欧州において今爆発的に感染者、死亡者が増えている。その比較においてわが国では、感染者は3月11日時点で550名、亡くなられた方は12名。諸外国の状況と比較すると、わが国の対応は評価できるのではないか。

ただ、コロナ対策にはいろいろなものがある。水際対策、感染拡大対策、そして経済対策。それぞれどう取り組むのか、どう評価するのか、分けて考えていかなければいけないと思う。

水際対策については、わが国は中国に5回もチャーター便を送った。これはほかの国と比べても特筆すべき取り組みだった。感染拡大防止についても、さまざまな取り組みが行われてきた。ただしクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」への対応は国際的にも注目され、さまざまな議論になったところだ。

日本の場合、クルーズ船がコロナ感染対策における最初の大きなケースとなった。船籍は英国であり、そして運営会社がアメリカ。日本に入港した最初の段階でかなり感染は拡大していたという指摘もあるし、4000人近い方々がおられた、しかも船内という特殊な空間の中での対応であった、こういった難しさもあった。今度はアメリカでもクルーズ船の問題が発生している。

──日本での経験を伝え、情報共有することも必要だ。

もちろん情報共有も大事。さらには今後こういった問題が発生した際、国際的にどう責任分担をするのかとか、こういったことも考えていかなければいけないだろう。

感染拡大対策と経済対策のバランスが重要

──感染拡大対策としては?

PCR検査の態勢拡充、不足しているマスクの供給、医療態勢の強化による重症化対策、こういった部分についてはこれからもしっかり進めなければいけない。

──感染拡大対策として首相が決断した小中高校の一斉休校要請。これが人々の生活に大きな影響を与えた。

発表が行われた際は、「子どもはあまり罹患(りかん)しない」との情報が流布した時期だったので、批判もあった。しかし、学校における集団感染を防ぐ、子どもたちが学校から家にウイルスを持ち帰って家族や高齢者に広げることを防ぐ、さらには満員電車の混雑を緩和する、といったさまざまな効果を考えると、効果的な対策だった。

感染防止にはさまざまな取り組みが必要。とにかく国民全体で幅広い方々に協力してもらう必要がある。政府が旗を振ったからといってそれで感染を封じ込められるものではない。手洗い、うがいから始まって、国民の皆さんにさまざまな形で協力してもらってこそ感染拡大は防ぐことができる。その取り組みの中の1つとして、これは大きな効果があるものだったと評価している。

1957年生まれ。82年早大法卒、日本長期信用銀行入社(~87年)。93年に祖父、父の地盤を引き継ぎ広島1区から衆院初当選(9回連続)。2012~17年に外相を務め、17年から現職。宏池会(岸田派)の領袖であり、「ポスト安倍」の有力候補(撮影:尾形文繁)

──大規模イベントの中止など自粛要請が経済へ与えるインパクトは大きい。

感染拡大対策と経済対策、このバランスが何よりも重要だ。このバランスはフェーズによってどんどん変化していく。今は感染拡大を防ぐことに力を入れなければいけない局面だ。このバランスが今後どうなるのか、先行きは不透明で予断は許されないが、局面が変わってきた場合に、経済対策へと力点が移っていく。さまざまなイベントの自粛などの依頼も、そのバランスの中で具体的に考えていかなければいけない。

──屋外で行うお花見も自粛。経済には心理が大きく影響するので、異常な冷え込みになりそうだ。

今現在、本当に多くの方々がたいへんな状況に置かれて苦労されていると思う。まずは、年度末を前にして全国の事業者、あるいは雇用者の方々に、何としてもこの年度末を乗り越えてもらわなければいけない。そういった目的のために、10日に発表された第2弾の緊急対策がある。この年度末を乗り越えたうえで、いずれかの時点で、経済の反転攻勢へ力点を移していく必要がある。