資産規模300兆円を超える日本のトップバンクだが経費率が高いなど課題は山積だ(撮影:尾形文繁)

「もう1年待ってもよかったのではないか」「持ち株会社の社長に昇格するなら頭取からだと思っていた」(三菱UFJ銀行行員)。社長交代の発表を受け、行内からはそんな声が漏れた。

三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)は今年4月1日付で亀澤宏規副社長が社長に昇格する人事を発表した。三菱UFJのデジタル化を担っており、メガバンク初の理系出身トップである。現在社長を務める三毛兼承氏はわずか1年で持ち株会社の社長を退き、兼任する三菱UFJ銀行頭取の業務に専念する。

亀澤氏は入行年次が三毛氏よりも7年下に当たる。持ち株会社社長と頭取の年次が逆転するのは、今までに例がない。

三菱UFJの人事といえば、早くから将来のトップ候補を絞って、帝王学を学ばせることで有名だ。周囲の行員から見ても「トップ候補たちは、若い頃から守られている」(三菱UFJ銀行の行員)という。経歴に傷がつかないように「在籍する部署で問題や損失があった際、将来のトップ候補の異動を待って、その後に表面化させる」(同)ほどの徹底ぶりだという。

亀澤氏の昇格も例に漏れず、周囲からは既定路線とみられていた。明確に次期トップ候補と誰もが認識したのは2019年、三毛氏が社長に就任したときだ。3年ぶりに持ち株会社の副社長のポジションを復活し、「経験を積ませる」として、亀澤氏を充てた。