やまぐち・けんじ 1993年東京大学大学院修了、ファナック入社。2007年本社工場長、08年専務、12年副社長、16年社長兼COO、19年4月から現職。
ファナックが変調を来している。かつての超高収益メーカーは再び成長軌道に乗ることができるか。山口賢治社長を直撃した。

──売上高営業利益率はかつて40%を超え、日本の製造業で抜群の収益力を誇っていたのがファナックの特徴でした。ですが、最近10年で10ポイント以上も低下するなど、陰りが出ているように見えます。

当然、利益率は大事な指標の1つだが、競争が激しく、設備の規模は大きくなり固定費や人件費も増えている。過去に利益率が高かったのは(スマホ向けに使われた小型の切削加工機の)ロボドリルの特需があったことが大きい。今は常態に戻ったというくらいで捉えている。この状況下でもうピークの利益率に戻るとは思っていない。米中貿易摩擦と景気の循環側面が重なり、足元も予想以上に受注が減少している。

──工作機械の頭脳である数値制御(NC)装置で世界を席巻しましたが、好採算部門ではなくなったのでしょうか。

部門ごとの利益率は公表していない。われわれのNC装置はさまざまな顧客にずっと使い続けてもらっており、長年の技術的な蓄積、製品の信頼性、保守体制などのサービスは高い評価を得ている。

──NC装置で三菱電機や独シーメンスなどとの競争が激しくなっている?

競合に追いつかれているわけではない。だが、世界中に競合がいるのは確かだ。キャッチアップされずに一歩でも先に行けるようにと気を緩めず開発している。中でもまだシェアの高くない欧州では現地に開発センターを設け、現地の工作機械メーカーやエンドユーザーの要望をすぐに吸い上げて対応できる体制を築いてきた。

一方、われわれの商品は20年、30年と長く使われるので、保守体制が充実していることも競争力で重要になる。「サービスファースト」という標語を掲げ、世界中に260以上の拠点を設けているのはそのためだ。工作機械の電装系、コントローラーやモーターの問題であれば、どのサービスエンジニアでもすぐに対応できる体制をつくっている。