楽観的だった米国の株式市場が一転パニックに。売りが売りを呼ぶ展開となった(共同通信)

2月24〜28日、米国の株価はつるべ落としとなった。ダウ工業株30種平均(NYダウ)は2月12日の終値2万9551ドルから2月末には2万5000ドル台半ばへ急落。パニック的な世界同時株安となり、日本の株価も急落した。新型コロナウイルスの感染が中国や韓国、日本など東アジアだけでなく、イタリアやイランでも拡大。さらには米国に飛び火した。

もともと米国の株価は高値圏にあった。完全雇用状態であるにもかかわらず、FRB(米連邦準備制度理事会)は昨年、7月以降3度の利下げを行い、株価は押し上げられていた。戦後最長の景気拡張も2月で実に129カ月に達した。景気も株価も伸びきっていたところに、新型コロナウイルスの感染拡大による景気後退への不安が台頭した。

資金はリスク回避で米国債に流れ込んだ。米国の長期金利は2月12日の1.62%から3月2日には1.0%に迫り、過去最低を更新。短期の3カ月物金利を下回る「逆イールド」も起きている。これは今後の景気後退を示唆しているとも読めるが、日本やドイツの長期金利がマイナスに沈む中、米国債に買いが集中する需給の影響も大きかった。

こうした動きを受け、G7財務相・中央銀行総裁は3月3日に電話会議を行い、「すべての適切な政策手段を用いる」と共同声明を発表。直後にFRBは臨時のFOMC(米連邦公開市場委員会)を開き、政策金利を0.5%引き下げ、1.0〜1.25%とした。

それでも、3日の株価は大幅に下落。長期金利は1%を割り込んだ。やや思い切った幅での利下げでも効かず、ECB(欧州中央銀行)や日本銀行が採用するマイナス金利政策では、マイナス幅を拡大すると副作用が強まるリスクがある。