「取引が完全にストップした。多摩川沿いの浸水した地域は半値以下で売り出されているが、それでも買う人は限られている」。神奈川県川崎市内の住宅仲介業者は肩を落とす。

昨年10月に日本列島を襲った台風19号。首都圏では河川の氾濫により多数の戸建てが浸水した。台風から4カ月が経っても被災地域に立つ物件は取引が鈍く、「売り出し価格を相場より1500万円も下げて、ようやく成約した物件もあった」と業者はこぼす。

台風19号によって浸水・停電した武蔵小杉のタワーマンション

戸建てが被害に遭った一方で、災害に強いはずのマンションはどうか。一部のマンションで地階に設置されていた電気室が浸水したものの、同じ地域に立つマンションの中古取引は比較的堅調だ。

他方で、東京都江戸川区のある新築マンションでは、1階と2階の住戸の契約がほとんど進んでいない。「ハザードマップ上では2階の高さまで浸水が想定されているためだろう。ここまで売れないのは初めてだ」と営業マンは嘆く。

トータルブレインの杉原禎之副社長は「災害のおそれがあるハザードエリアでマンションを開発するのは社会的意義のあることで、今後はビジネスチャンスになっていく」とみる。地震だけでなく、これからは水害への対策もマンション選びの要素となりそうだ。