英オックスフォード大学教授 苅谷剛彦(かりや・たけひこ)1955年生まれ。米ノースウェスタン大学大学院博士課程修了、博士(社会学)。東京大学大学院教育学研究科助教授、同教授を経て2008年から現職。著書に『階層化日本と教育危機』『増補 教育の世紀:大衆教育社会の源流』『教育と平等』など。(撮影:尾形文繁)

新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない。欧州でもイタリアで感染者が急増した。英国の感染者は3月1日時点で36人にとどまるが、私が勤める大学でも緊張感が高まりつつある。

このような身近な変化を感じていたさなかに、安倍晋三首相が全国の小中高校に3月2日からの休校を要請した。夏のオリンピック開催を危ぶむ声も出始めた。経済への打撃も大きくなりそうだ。ほんの2カ月前までは誰も予想のできなかった事態の急展開である。

ところで、4月から全国の小中学校で始まる新しい学習指導要領の骨格を提唱した文部科学省・中央教育審議会の答申(2016年)では、「予測できない未来に対応するため」には「社会の変化に(中略)主体的に向き合って関わり合い、その過程を通して、一人一人が自らの可能性を最大限に発揮し、よりよい社会と幸福な人生を自ら創り出していくことが重要である」との指摘がある。