経団連の『経営労働政策特別委員会報告』では「日本型雇用」の見直しへ、新たな雇用制度についての労使協議を促している(時事)

春闘の交渉が本格化している。とくに今年は賃上げに逆風が吹いている。短期的には、日本経済が景気後退リスクに直面しているという問題がある。だが、より重要なのは、春闘の賃上げ手法が大きく変わりつつあることだ。

2018年に経団連会長に就任した中西宏明氏は、「日本型雇用の見直し」を訴えた。日本型雇用とは「新卒一括採用」「終身雇用」「年功型賃金」の3点セットを指す。つまり、定期昇給とベア(ベースアップ、基本給増額)による一律の賃金上昇に否定的な立場だ。政府の介入も排し、会社ごとの交渉を主張する。18年にはトヨタ自動車がベアの金額を非公開とした。

日本の労働組合の多くは企業に対峙するのではなく、共に生産性を上げていこうという協調路線だ。19年春闘では自動車総連が統一要求額を示さなかった。

進む「脱横並び」

20年の共闘方針として連合が示した賃上げ要求の考え方は次のようなものだ。

「底上げ」としてベア2%、定昇2%、合わせて4%の賃上げ。また、規模(大企業・中小企業)、雇用形態(正規・非正規)間の「格差是正」のためとして、具体的な要求金額を示した。35歳で賞与と合わせて年収459万円程度は欲しい、という数字だ。「底支え」として、全労働者対象の協定締結・時給1100円以上も掲げた。