Sarah L. Casanova 1965年カナダ生まれ。92年マクドナルドカナダ入社。2013年、事業会社の日本マクドナルド社長兼CEO(最高経営責任者)。14年から現職。19年に事業会社の社長を退き会長に。(撮影:今井康一)

日本マクドナルドホールディングスが快走を続けている。既存店売上高は2020年1月まで、50カ月連続で前年同月比プラス推移。19年12月期業績は、売上高2817億円(前期比3.5%増)、営業利益280億円(同11.9%増)。来期の営業利益は9期ぶりの最高益更新を計画する。

勢いを増すマクドナルドだが、6年前はどん底の状態だった。14年の期限切れの鶏肉使用、15年の異物混入。相次ぐ不祥事により顧客がソッポを向き、業績も赤字に落ち込んだ。

この逆境下、同社のサラ・L・カサノバ社長は店舗数を減らして、既存店の回復に全精力を傾けた。ピーク時には3800店を超えていた店舗数は、現在は約2900店に縮んだ。

どのような狙いでこの戦略を取り、何を再成長の軸にしようとしたのか。カサノバ社長を直撃した。

週刊東洋経済 2020年2/29号
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──既存店好調の要因をどのように分析していますか。

業績回復のために最初に手がけたのは、47都道府県すべてを回って顧客の声をよく聞くこと。主婦を中心にそこで聞いたことは、言い方が違ってもどこの店舗でも同じ内容だった。「マクドナルドらしくあってほしい」。お得感のあるおいしい商品を提供する、楽しい場所であってほしい、と。それに基づき顧客第一のアクション、店舗投資の加速などを柱にした再建策を策定した。

プランは実行しなければ意味がない。そこで全国の店長やフランチャイズのオーナー、サプライヤーなど約5000人が一堂に会するキックオフミーティングを16年1月に開き、「パワー・オブ・ワン」というスローガンを掲げた。会社全体が一丸となり、同じ方向を向いて実行できたことが大きい。

値引きに偏っていた

──顧客第一の戦略とは、具体的にどのようなものでしたか。