富士通総研エグゼクティブ・フェロー 早川英男(はやかわ・ひでお)1954年生まれ、愛知県出身。東京大学経済学部卒。米プリンストン大学経済学大学院にて修士号取得。77年日本銀行に入行後、長年にわたって主に経済調査に携わる。調査統計局長、名古屋支店長、理事などを歴任し、2013年4月から現職。著書に『金融政策の「誤解」』。(撮影:梅谷秀司)

デジタル化の進展によって経済はあらゆる面で大きく変化している。2018年4月7日号の本欄ではデジタル化のGDP(国内総生産)や経済厚生への影響を取り上げたが、今回は価格形成や物価への影響を考えてみたい。

デジタル化の物価への影響でよく議論されるのは、インターネット消費の拡大で物価が上がりにくくなるという「アマゾン効果」だ。だが、これは計測できるし、物価統計への取り込みも難しくない。ここで問題になるのは、フィリップス曲線の傾きといったインフレ動学の変化であり、価格の概念自体が変わるわけではない。

もう少し難しいのは、時々刻々と価格が変わるダイナミックプライシングの普及だろう。今では航空券やホテルの予約はダイナミックプライシングが当たり前だが、最近は家電量販店やデパートにも広がりつつある。需給のマッチングという観点からは、これは大きな進歩といえる。