新型コロナウイルスの影響により、横浜港で孤立する客船「ダイヤモンド・プリンセス」(共同通信社/Getty Images)
週刊東洋経済 2020年2/22号
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「新型肺炎、さまようクルーズ船」「香港発のクルーズ船 入港認めず」。今ネットやテレビのニュースに、クルーズという単語がかつてないほど躍っている。

きっかけは世界を騒然とさせている新型コロナウイルスだ。中国湖北省の武漢市で2019年12月、同ウイルスに起因する肺炎の発生が報告された。2月11日時点で中国内の感染者は4万4653人、死者は1113人に及び、日本国内でも10日までで26人に陽性反応が出ている。

その影響を受け、横浜港内では乗客・乗員約3700人の米プリンセス・クルーズの巨大客船「ダイヤモンド・プリンセス」が孤立。20年1月25日に香港で同船から降りた乗客が病院で検査を受けた結果、新型コロナウイルスの感染が確認されたためだ。同船には2月3日から検疫官が乗り込み「臨船検疫」を実施した。2月12日時点で174人が陽性と判明している。

厚生労働省は「最大14日間の潜伏期間を想定した措置を取っている。乗員・乗客には必要な期間、船内にとどまり客室で待機いただきたい」(加藤勝信厚労相)とし、乗客たちは2月7日時点で下船はおろか、食事も含めほとんどの時間を客室で過ごしている。

2月8日に那覇へ入港予定だった定員約2000人の米ホーランド・アメリカ・ライン「ウエステルダム」は、日本政府から入港の取りやめを「強く要請」(赤羽一嘉国土交通相)された。国交省によれば、2月に日本へ入港する予定の外航クルーズ船はほかに4隻ある。今後、再び海上をさまよう船が出ることになりそうだ。

懸念されるのはクルーズへの風評被害。ある業界幹部は「新型コロナウイルスの感染者が報告されていない客船や船会社のクルーズに、一定のキャンセルが出てきた。逆風が吹き荒れている」と嘆く。