2月9日夜、武漢天河空港に全国6つの省と直轄市から2000人余りの医療スタッフが到着した。これまでの武漢支援で最大規模の混合医療部隊だ(撮影:丁剛)

新型コロナウイルスが猛威を振るう中、武漢での被害が突出している。国家衛生健康委員会の医政医管局副局長・焦雅輝氏によると、湖北省武漢市の死亡者数は313人。全国の死者の74%を占めている(2月3日時点)。

感染者数に対する死亡者数の割合である致死率を見ると、武漢市は4.9%で全国平均の2.1%を大きく上回る。湖北省を除いたほかの省の致死率はわずか0.16%だ。

この数字からわかるのは、死亡した感染者は湖北省、とくに武漢に集中しており、ほかの省では症例こそ少なくないものの、致死率はそうとう低いということだ。

武漢の致死率が高いのはなぜか。焦氏の分析によると、武漢の前期重症患者は主に3つの指定病院で収容治療を受けているが、これらの病院のベッドがわずか110床しかなく、患者数に対してはるかに不足していたことが理由だ。

ほかの重症患者は20以上の医療機関に分散して収容治療を受けているものの、「四集中」(患者、専門家、資源、救護治療の4つを集中させること)の原則が実行されているとはいえない。分散していることが、管理上のデメリットになっているのだ。このほか、重症医学が専門でない医療チームが管理していることも、現場の医療レベルを低めており、致死率が相対的に高い一因になっている。

マスクが圧倒的に不足

湖北省の患者の平均入院日数は20日間で、同省を除く全国平均の9日間余りよりはるかに長い。最も短い海南省は5日間。湖北省の次に長い広東省でも12.75日間である。だが、焦氏は「湖北省の治療効果が悪いわけではない」と語る。

中国全体の致死率は2.1%だが、流行当初は2.3%であり、徐々に下降してきたといえる。死亡者の3分の2は男性で、60歳以上の高齢者が8割超だ。75%以上は心脳血管疾病や糖尿病など何らかの基礎疾患を抱えた患者だった。

統計によると、1月28日以降、新たな治癒者数は死亡者数を上回り始めた。この先、一定の起伏はあるかもしれないが、専門家によればこれも疫病の正常な過程だという。治療の効果は、徐々にではあるが明らかに出てきている。

一方、全国の防護用品の供給は非常にタイトだ。とくに武漢では需給の矛盾が噴出している。現地で最も不足しているのが「N95マスク」などの医療用マスクで、防護服も足りていない。

マスクなどの防護用品の最も理想的な使用状態は、隔離された集中治療室において4時間の着用だが、これはまったくもって不可能だ。医療スタッフは隔離地区や隔離病室に入ると、紙おむつを着用し、トイレに行く頻度を下げなければならない。トイレに行くたびに防護用品を交換していたのでは、ますます足りなくなってしまうからだ。

それゆえ彼らは6時間でも9時間でも、可能な限り長く着用する。もちろん専門家がこうした方法をすすめることはありえないが、現場の医療スタッフにはどうしようもない。

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