黄色ブドウ球菌は抵抗力のない人には重篤な病をもたらす(コンピューター生成画像/AFP Third party)

ほとんどの風邪に抗生物質(抗菌剤)が効かないことは、医師は知識としては当然知っている。風邪の原因の9割はウイルス感染症で、抗菌剤はウイルスには効かないためだ。

だが医者にかかると、抗菌剤が処方されることが少なくない。「抗菌剤が風邪の重症化や細菌への2次感染を防ぐ」という見解も根強かったが、2000年半ばには国内外の研究を通して否定されている。それでも「風邪に抗菌剤」は一向に解消されない。

習慣的に抗菌剤を処方する医師もいるが、患者側の要望が強いという事情もある。

日本化学療法学会などが18年に診療所の勤務医を対象に実施した意識調査によると、風邪と診断された患者が抗生物質を希望した場合、「説得しても納得しなければ処方する」が50%、「希望どおり処方する」が13%で、全体の6割に上った。