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「ゼイタクはいらない、普通の人間の生活がしたい‼」。遺書とみられるメモにはそう記され、丸印で囲まれて強調されていた。

中国地方の総合病院の産婦人科に勤務していた、当時50代の男性医師が自殺したのは過労が原因だとして、妻が労災認定を求めた裁判で、広島地方裁判所は昨年5月、不支給とした国の処分を取り消した。国側は控訴せず、判決は確定した。

男性医師は僻地にある病床数約300の総合病院で、約10年間産婦人科部長を務めてきた。2009年に精神を患い、自宅のガレージで縊(い)死した。男性医師の勤務実態には、とりわけ過酷といわれる、産婦人科医の労働環境の問題点が集約されている。

通常、医師1人が扱う適切な分娩件数は年100件程度とされているが、同病院はその1.4倍と多かった。