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「メモリ市場を韓国と米国が牛耳る状況はよくない」 元エルピーダ社長はなぜ中国の半導体企業を選んだのか
かつて日本が席巻し、今は韓国や台湾が主導権を握っている半導体産業だが、攻勢を強めているのが中国である。
その代表格である清華大学系の紫光集団が2019年11月に発表した人事が話題になった。日本のDRAMメーカーだったエルピーダメモリ(現:マイクロンメモリ。2013年にアメリカのマイクロンテクノロジーが買収)で最後の社長を務めた坂本幸雄氏が、紫光集団の高級副総裁として加わることが発表されたからだ。
坂本氏は2019年12月に設立された日本の子会社であるIDT(川崎市)の代表取締役となり、そこを研究開発拠点にするという。なぜ中国企業に加わることを決めたのか。その思いを聞いた。
300人弱の開発体制をつくる
――紫光集団ではどのような役割を任されているのですか。
日本でDRAMの設計開発組織を作り、それがちゃんと動くようにすることが大きなミッション。あと、今でもメモリのマーケットはかなり理解しているつもりなので、彼らに(開発に生かせる情報を)提言するということだ。最初は、日本の拠点では70人から100人規模でやる。将来的な技術の研究も必要だから、そのあとは300人弱くらいになるだろう。
――日本の別の会社で働いている技術者に来てもらうのですか?
私たちが電話で「来ないか?」というふうに引っ張ったりはしない。公募による正規の手続きで来てもらうつもりだ。
――つまり、引き抜きはしないと。
そういうことだ。手応えはある。
日本企業にいるエンジニアにはこれまでチャンスがなかったからだ。(2012年に経営破綻した)エルピーダメモリからマイクロンに移った人もいるが、やめた人はみんな小さな会社に行っている。でも、そこでやれることは非常に限られていて、10人から30人くらいの設計者では、最先端の技術開発は無理だ。
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