(EKAKI / PIXTA)

老朽化した水道管は破裂し、小中学校は統廃合される。庁舎の耐震化にかけるお金もない。そんな日本の公共施設やインフラは持続可能なのか。

日本の公共施設やインフラは1970年代に急速に整備された。ここでいう公共施設とは庁舎や学校、公民館といった箱モノ(建築物)のこと。インフラは箱モノ以外の道路や橋梁、公園、上下水道を指す。

各自治体はいったいどれだけの公共施設やインフラを保有し、どのように管理し、将来の更新費はどうなるのか。それをまとめたものが「公共施設等総合管理計画」(以下、管理計画)だ。2014年に総務省が全自治体に対し17年3月末までに管理計画を策定するよう要請。福島県3町村(大熊町、双葉町、飯舘村)を除くすべての自治体が策定を終えた。

さらに総務省は各自治体に対し、今年3月末までに学校や道路などの各施設について、維持管理の優先順位や対策内容、その実施時期を明記した個別管理計画を策定するよう求めている。

大半が捻出できない

今回、本誌は東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県の145市区を抽出。総務省がまとめた管理計画の一覧を基に、各自治体の資料も参考にしながら、公共施設やインフラを単純に耐用年数ごとにすべて更新した際にかかる将来の年間更新費用を試算した。

それを現在の人口と40年の予測人口で割り、現状と40年時点の1人当たり更新費用を比較、その増減率でランキングを作成した。

結論は、現状の費用で公共施設やインフラのすべてを更新できる自治体はほとんどないということだ。すべての自治体が、劣化の進む前に修繕する予防保全を導入し、大規模修繕により耐用年数を延ばす長寿命化でコストを削減する計画を掲げている。

それでも多くの自治体は、将来の更新費を全額捻出できはしないため、公共施設の総量(延べ床面積)を20〜30%削減する数値目標に踏み込んだ。更新費が最も増えるのは埼玉県の鶴ヶ島市。「管理計画策定時点では、修繕を全然してこなかった。今はもっと費用を投じている」という。

削減計画が公共施設に集中するのは、一部がなくなると利便性が低下する道路や橋梁、上下水道といったインフラの削減は難しいからだ。公共施設なら住民の一部しか利用していないものも多く、削減しても理解を得やすい。とくに少子化が進み、子どもの数が減っている学校は、統廃合の最大のターゲットだ。

一方で、1人当たり更新費用が減少する自治体もある。人口増が見込まれる東京23区の一部や、子育て世代に人気の埼玉県吉川市などだ。直近実績の更新費用が公共施設の耐震化などで膨らんでいた埼玉県飯能市も将来は減少する。

管理計画の将来更新費用は一定の前提の下に試算されており、表のとおりの額が必ず発生するわけではない。とはいえ、各自治体が負担している児童福祉費や生活保護費、社会福祉費などの義務的経費は増加傾向にある。公共施設やインフラにかけられる費用が減っていくのは確実だ。どこにどんな施設を残していくのか。各自治体は決断を迫られている。