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日米英の権力者が助長する自由民主主義の危機的状況 侵食される自由民主主義の土台

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自由主義の原理は無視され、民主政治の劣化が止まらない。

権力濫用、法の軽視は甚だしい(写真は2019年9月の日米貿易協定合意時)(AP/ アフロ)

2020年は、自由民主主義の危機とともに始まった。20世紀前半のファシズムと戦争の悲惨な経験を経て、20世紀後半においては自由民主主義が先進国にとっての自明の政治体制となった。民主主義は多数の意思によって権力を構成し、社会を統治する仕組みである。しかし、ヒトラーの台頭に見られるように、多数者が偏見や感情のままに行動し行政府の支配者にすべての権力を委ねれば、独裁が成立する。それゆえ、第2次世界大戦後は自由主義の原理と民主主義を結合し、行政権力の暴走を防ぎ、人権と自由を擁護する穏健な民主主義が成立した。自由主義の原理とは、具体的には議会による討論を通した権力監視を確立し、行政権は法の支配によって制約されるという形をとる。

ドナルド・トランプ、ボリス・ジョンソン、安倍晋三という3人の権力者は、この自由主義の原理を無視して支配を行っている。

米国では、権力濫用と議会妨害のかどで下院が大統領の弾劾決議を行い、上院での審理が始まった。かつて政権内部で働いた人物が大統領の不当な行為について証言しており、弾劾は濡れ衣とは言い切れない。米国がイランに加えた攻撃は、国際法を無視した暴挙であり、世界を不安定にする。

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