今や生活に最も欠かせないインフラの1つである電力。災害時はどうなるのか。

昨年10月、東日本を直撃した台風19号は、関東や東北に甚大な被害をもたらした。東京都北区にある国土交通省・荒川下流河川事務所の檜森裕司副所長は、今まで見たこともない水位の上昇を見て不安を募らせていた。

2019年の台風19号による浸水で長期間停電したタワーマンション(共同通信)

しかし、いくつかの幸運が重なり、東京は洪水から守られた。台風の目の後方に雨雲が少なく、台風の通過とともに雨量が減少。一時計画された上流のダムの緊急放流が取りやめになった。そして、水かさが増したタイミングと、干潮時が運よく重なったため、河口に向かって急速に水が流れ出した。「もしも、増水と満潮が重なっていたら、水位はもっと上昇していたかもしれない」(檜森副所長)。

約121万軒が停電に

荒川の洪水が懸念されるのは、「首都圏水没」に直結しかねないためだ。内閣府の中央防災会議の専門調査会は2010年4月、首都圏水没のシナリオを検証した報告書をまとめた。下表のように東京都北区にある荒川右岸21キロメートル地点の堤防が決壊すれば、大手町や丸の内など都心部を含め約120万人に浸水被害が発生するという。