基準厳格化の議論は腰砕け、東証1部で続く玉石混淆 東京証券取引所の市場再編案が決まったが

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ようやく決まった市場再編の「青写真」は、妥協の産物とも言える内容だった。

現制度では、マザーズ上場企業なら時価総額40億円以上で1部に昇格できる。再編後はプライム市場への上場基準が一本化され、こうしたマザーズ経由の“近道上場”の道は絶たれる(撮影:尾形文繁)

「千載一遇のチャンスを逃した。世界の投資家を振り向かせたいなら、大胆な改革を行わないと」。ある1部上場企業の社長は、昨年末に固まった東京証券取引所の市場再編案についてこう語る。酷評されるのには理由がある。

2018年秋に始まった東証の市場再編論議。大阪証券取引所との経営統合で5つにまで増えた市場区分の整理に加え、上場企業数が年々増える1部市場についても「東証が優良企業だけに選別するのでは」と大きな注目を集めた。

その後、議論の場は金融庁の金融審議会に移り、12月27日にその報告書がまとめられた。報告書はまず、東証の市場区分を「プライム」「スタンダード」「グロース」(いずれも仮称)の3つに再編するよう提言している。

中堅企業も多い2部とジャスダックスタンダード、さらに新興企業を対象としたマザーズ、ジャスダックグロースなど、重複感のある現在の市場区分を整理する。新たな市場区分への移行は、22年上半期をメドにするよう促している。

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