欧州中央銀行をはじめ、欧州では気候変動対策が金融政策にしっかりと食い込んでいる(AFP/アフロ)

気候変動が進む中、中央銀行にいくつかの論点が浮上している。例えば完全雇用と物価安定という政策目標に対し、気候変動を脅威と見なすべきなのか。もっと言えば、気候変動対策を明確に金融政策目標とする是非が問われているのである。

気候変動に関連した金融リスクは、大きく2種類に分けられる。1つは低炭素化が成功したケースで、この場合には原油に代表される伝統的な資産の価値が急落するおそれがある。規制や技術革新によって需要に本質的な変化が生じるからだ。もう1つは気候変動対策に失敗したケースで、こうなると各方面にダメージが及ぶ。自然災害の規模と頻度が増せば、企業業績だけでなく人的被害も増える。打撃は保険業界にも広がるはずだ。

少なくとも2015年に温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」が採択されてから、金融当局の問題意識は強まった。英イングランド銀行の健全性監督機構(PRA)は気候変動が保険・銀行業界に及ぼしうるリスクを注視するようになっているし、同じく英国の金融行為規制機構(FCA)も、PRAと足並みをそろえる形で規制枠組みを見直した。