NATO首脳会議のマクロン仏大統領。NATOを 「脳死」と断じた彼は金融体制にも不満げだ(AFP/アフロ)

欧州連合(EU)離脱後の英国は「テムズ川のシンガポール」となって規制緩和の道を突き進む──。そんな見方が浮上して久しい。だが、金融規制に関する限り、欧州の足並みは英離脱(ブレグジット)よりも、むしろフランスが原因で乱れることになるのではないか。

「テムズ川のシンガポール」というのは、英国が規制の緩い低税率国となって規制の重いユーロ圏を出し抜く未来だ。2年ほど前に当時のハモンド英財務相が持ち出した構想で、狙いはEUから好意的な離脱協定案を引き出すことにあった。要は駆け引きの材料だ。

だが、シンガポールを「規制緩和の楽園」に例えるのは現実にそぐわない。シンガポールの規制がどれだけ厳しいか、あの国でガムを捨てようとしたことのある人ならご存じのはずだ(編集部注:同国ではガムの持ち込みすら禁止されている)。シンガポールが経済的に大成功できたのは、国家が隙なく統制してきた面が大きい。