小樽市は北海道後志(しりべし)地方の東部に位置する面積243平方キロメートル、人口約11万5000人の街だ。石狩湾に面し、海岸線は東西69キロメートルにも及ぶ。ほかの三方を山に囲まれ、西は積丹(しゃこたん)半島につながる。交通網はJR北海道の函館本線、後志自動車道で札幌にアクセスが容易で、札幌─小樽間は電車でわずか30分ほどであることから、札幌からの日帰り観光客でもにぎわう街である。

だが都会へのアクセスのよさは、人口の流出を招く。主要な産業があまりないことから、1964年に20万7000人でピークだった人口は、現在半分近くにまで減少、少子高齢化対策は待ったなしだ。

小樽はかつて栄華を極めた時代があった。街を栄えさせたのはニシン漁と、1899年に開港した小樽港だ。北海道の開拓が進む中、石炭や木材、海産物の缶詰などの積み出し港として栄えた。その後、日露戦争で割譲された南樺太(からふと)や昭和初期に建国された満州国に近いことから、物資の供給拠点として重要な地位を築くこととなった。また、ロシアとの交易で海運業や、輸出入関連の為替や保険などの業務も大量に発生。そのためこの街には1906年から2002年まで日本銀行の小樽支店が置かれ、主要な銀行や保険会社の支店がこぞって進出し、小樽港は56年まで道内トップの貿易額を誇っていた。