2019年末、SNS上で「忘年会スルー」というワードが話題になった。「お金を出してまで上司の自慢話を聞きたくない」という理屈には一理ある。若かりしころに寝る時間を惜しんで成し遂げた武勇伝を聞かされても、働き方改革を促される若者に響くことはないだろう。しかし、この「スルー」が常態化することに対しては危機感も感じる。

今、人々はネットによって、従来より豊富な情報にアクセスできる。一方、得られる情報にはバイアスがかかる。検索エンジンに入力するキーワードや閲覧履歴から、好みや考え方に沿ったコンテンツが画面に表示される。

自身の主義主張に即したコンテンツが上位に表示されれば、異なる意見に接する頻度は著しく低くなる。無意識のうちに、心地よい情報しか入ってこない環境に身を投じ、物事を多面的に考え、見極めるのが難しくなっている。