2020大予測 世界と日本 新時代を読む150テーマ

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週刊東洋経済 2019年12/28-2020年1/4合併号
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私たちの怒りは大変革が進むまで収まらない!

若者たちの怒りが収まらない。スペイン・マドリードで開催された、国連気候変動枠組み条約第25回締約国会議(COP25)。「私たちはもう待てない!」。開催地には地球温暖化対策の強化を求め、世界中から若者たちが集まった。スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさんの一挙一動をメディアが追う。

米コンサルティング会社デロイトがミレニアル(1983~94年生まれ)、ジェネレーションZ(95~2002年生まれ)を対象に行った意識調査(19年)では、気候変動・環境保護が「最も関心があること」のトップとなった。気候変動問題への危機意識がかつてないほど高まっているのは確かだ。

COP25の開催地では温暖化対策を求めて世界から若者たちが集まった(ロイター/アフロ)

ただ、若者が悲観に暮れる理由は気候変動問題だけにあるのではない。マドリードから約1万キロメートル離れた東アジアの香港。3月から始まった民主化デモは今や血で血を洗う戦場の様相を呈し始めた。南米、中東、ロシアとデモは世界中で拡散を続けている。

デモの背景にあるもの。それは「約束できない、約束してもそれを果たそうとしない政治」に対する憎しみや怒りである。

失業、格差、貧困……。怒りの一部をすくい取ろうとしているのが、米国のドナルド・トランプ氏や英国のボリス・ジョンソン氏らポピュリストだが、彼らも次々と生まれる怒りの渦にいずれ巻き込まれることになるだろう。社会に横たわる根本的な問題は何も解決されないからだ。

東京五輪開催を控える日本。うたげの終わりは、抑え込まれた感情が解き放たれるタイミングになるかもしれない。「落ちるところまで落ちたら、立ち直らなきゃしょうがない」(作家の髙村薫氏、インタビュー記事参照)。もはや選択肢はショック療法のみという段階なのだろうか。今は目を背けているだけで、よく見れば、この国はありとあらゆる面で瀬戸際にある。

世界と日本が迎える新しいディケード(10年間)。道を切り開くために大きな変革が必要になる。その燃料はマグマのように蓄積された怒りだ。

では、何が起きるのか? この特集を読み終えたとき、その答えは頭の中にすべて刻み込まれているはずなのである。

10パート、150テーマ、64人の企業トップ

今回の特集の最大の特徴は業界を代表する企業トップ64人が登場していること。トップインタビューの数々を読めば、自然に2020年を読み解くヒントを得られるはずだ。

ここからは特集のインデックス紹介。まず、10のパートに収まらない特別な記事から紹介しよう。人生100年時代に起こること楠木建教授が “好き嫌い”で選ぶベスト経営者 のほかロングインタビュー、特別インタビューは、以下の「スペシャルインタビュー」にまとめている。

まずはスペシャルインタビュー。本誌厳選キーパーソン13人の言葉に耳を傾けて欲しい。​

パート1 世界

本特集のパート1は「世界」。2020年はアメリカ大統領選、ブレグジットのほか緊迫度を増す北朝鮮情勢など、不確実性の高いイベント、事象が目白押しである。見通しの立ちにくい世界情勢を冷静に分析するためには安定した視座が必要である。

パート2 日本

パート2は日本。2020年度の日本の景気はどうなるのか。本誌では企業や機関投資家からの評価が高い民間エコノミスト17人にアンケートを行った。その結果は?

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