まつもと・あきら 1947年生まれ。伊藤忠商事を経てジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人社長、カルビー会長兼CEOを歴任。RIZAPグループ経営陣に参加し2019年特別顧問。ラディクールジャパン会長就任。(撮影:ヒダキトモコ)

ジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人社長やカルビー会長兼CEOとして経営再建を担い、「プロ経営者」として実績を上げてきた松本晃氏。現在はRIZAPグループ特別顧問に加え、中国系研究者らが創業し、建物などの冷却に用いる「放射冷却シート」を販売するラディクールジャパンの会長を務める。経営者として長く日本企業を見つめてきた松本氏は、2020年代の日本経済の課題をどう考えているのか。

──19年はどのような年だったと振り返りますか。

実に面白い年だったと思う。なぜなら日本が成長、停滞を繰り返した30年サイクルの節目に当たる年だったからだ。

日本は戦後、外交面では日米安保体制、内政では自民党を中心とする55年体制を確立し、1960年ごろから80年代後半まで、軍事小国、経済大国の路線をひた走った。その約30年間は経済が非常によく回っていた。

しかし89年11月9日から始まったベルリンの壁の崩壊を境に、世界ががらりと変わった。西と東の壁がなくなり、世界の秩序が混沌とした。それ以降、日本経済はずっと下降曲線をたどった。

東西冷戦時代には機能した日本のシステムが、冷戦後の世界には適応できなかったといえる。その節目の89年から、ちょうど30年経過したのが19年だった。

──なぜ30年間も停滞が続いたのでしょうか。