「馬鹿者」「政治小人」といった侮蔑語から始まる政府談話も珍しい。2019年11月7日に、北朝鮮外務省の宋日昊(ソンイルホ)大使が「朝鮮の大型ロケット砲試射をもって大騒ぎを起こしている安倍(晋三首相)を糾弾」とした談話を発表。さらに同月30日には同省日本担当副局長が「安倍は希代の政治小人と嘲笑」との談話を発表した。10月31日と11月29日に北朝鮮が「大型ロケット砲」を試射したことに対し、安倍首相が「国連安全保障理事会決議違反だ」と批判したことを「馬鹿者の行為」として取り上げた内容だ。

それにしても、このような言葉遣いの対日批判は珍しい。今春、安倍首相が「無条件で北朝鮮との首脳会談を」と打ち出して以降、「無条件での対話をと言う割には、安倍首相は拉致問題といった前提条件をつけてくる」といった批判はあったものの、安倍首相からのアピールを全否定することはなかった北朝鮮。ところが今回は「安倍は永遠に、平壌の敷居をまたぐ夢さえ見てはならない」(宋氏)とまで言い切った。

2つの談話からは、次のような北朝鮮側の論理が垣間見える。今回試射したのは北朝鮮にとってはロケット砲であり、「弾道ミサイル」では決してない。しかも、「ミサイル」とは先制攻撃用の兵器であり、ロケット砲は防御用で自衛のための武器だ。それを「ミサイル」と称して批判する安倍首相は「馬鹿者」だ──。