もりた・ちょうたろう 慶応義塾大学経済学部卒業。日興リサーチセンター、日興ソロモン・スミス・バーニー証券、ドイツ証券、バークレイズ証券を経て2013年8月から現職。日本国債市場での経験は通算で20年超。グローバルな経済、財政政策の分析などマクロ的アプローチに特色。(撮影:大澤 誠)

今年初めに米国の経済学者の間でMMT(現代金融理論)をめぐる議論が盛り上がり、日本にも波及した。筆者も当時、当欄や東洋経済オンラインにこのテーマで寄稿したところ、批判的なものも含めて実にさまざまな意見をいただいた。

最近は、一時のMMT狂騒曲とでもいうような経済論壇における論争はやや下火になっているが、賛成派、批判派の議論がかみ合わないまま痛み分けに終わっている状況に見える。これは、かつてのリフレ論争の構図にも似ている。

「何を目的に政策を行うのか」という最も重要な点を曖昧にしたまま議論が走って、論点がぼやけてしまっているのである。リフレ派対反リフレ派の論争でも、「なぜインフレ率を引き上げるべきなのか」という入り口のところで明確な合意のないまま議論が混乱してしまった。