2005年にアマゾンジャパンへ入社、12年から物流部門を取り仕切り、宅配会社との交渉や配送手段の拡大を担ってきたハヤシダ氏。ヤマトとの関係や自前物流網の考えをメディアに詳細に語ったのは、今回が初めてだ(撮影:山内信也)

アマゾン物流の“ドン”が沈黙を破った。アマゾンは個人事業主に直接配送業務を委託する「アマゾンフレックス」を今年1月から日本で本格展開している。その意図は語られてこなかったが、アマゾンジャパンで物流部門を長年統括するジェフ・ハヤシダ氏が本誌の取材に応じた

3年以内に全国展開

「人、組織の面でようやく始められる準備が整った。米国で2015年に始まったころから、日本でも本当はやりたかった」。ハヤシダ氏の中で「自前物流」となるフレックスの展開構想は4年前からあったことを明かした。現在、首都圏を中心に展開している6つの地域を「3年以内に全国に広げる」という。

一方でハヤシダ氏は、「すべてを自分たちでやるつもりはない。ヤマト運輸など大手宅配会社とはこれからも付き合っていくし、彼らとの協力体制がなくなることは決してない」と強調した。

アマゾンが大手の中でも、とりわけヤマトに神経を使うのには理由がある。ヤマトは13年から佐川急便に代わり、アマゾンの倉庫から出荷される大部分の荷物を取り扱ってきた。全国約4000カ所の事業所と約6万人のセールスドライバーを抱えるヤマトは国内随一のネットワークを有しており、宅配便シェアは18年度も42%強を占める。アマゾンにとっては重要な配送パートナーである。

両社の関係が変化したのは18年1月。荷物1個当たりの配送料金が従来は平均280円だったところ、420円に引き上げられたのだ。ヤマトは16〜17年に従業員に対する未払い残業代問題が発覚。直後に宅急便の荷受け量抑制と運賃値上げを表明しており、アマゾンもそのあおりを食った。