2019年はスウェーデン出身の環境活動家、グレタ・トゥーンベリさんを筆頭に、市民レベルで気候変動問題に対する機運が高まった年であった。一般市民が日常生活において環境保全に関わる手段の1つとして、認証製品の購入が挙げられる。

近年、日本においてもフェアトレードなどの認証制度の認知度は高まりつつある。認証制度の中には、環境に配慮した方法で生産された農産物に与えられるものも存在する。消費者が認証を受けた農産品を購入することで、間接的に生産地における環境保全に貢献することができるシステムである。

とりわけ、コーヒー業界は認証制度を初期に導入したパイオニア的産業だ。筆者はこの認証コーヒーに焦点を当て、自動販売機を用いた社会実験を行った。その結果、認証コーヒーの購入をより多くの人に促すためには、「認証コーヒーの購入」というエコな行動を、所属するコミュニティーから評価されることが効果的だとわかった。

そもそも、コーヒー生産が環境保全と関連するのはなぜだろうか。その理由は、「耐陰性」というコーヒーの木の性質にある。コーヒーの木は陰樹と呼ばれる種類の樹木で、日陰の中でも成長できる。伝統的に、コーヒーは森の中の陰地で生産されてきたため、そうしたコーヒー農園では陰を作る豊かな森が持続的に保全されてきた。

伝統的なコーヒー農法を推奨することで、生産地の環境保全を促進するのが「森林コーヒー認証制度」である。認証団体から認められた生産者は、国際市場に対し自身の製品を認証コーヒーと表示して販売することが可能となる。通常、認証コーヒーは高値で取引されることが多いため、認証導入は所得の向上や生産地における環境保全につながると考えられている。筆者が実施したエチオピアでの研究においても、認証取得による森林の保全効果が確認されている。