週刊東洋経済 2019年12/14号
書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

「今回の買収は金額がとんでもなく高く、財務リスクも非常に高い。将来的には会社が破綻するんじゃないかという危機感があった」

日本企業史上最高額となる約6.2兆円を投じ、アイルランドの製薬大手・シャイアーを今年1月に買収した武田薬品工業。同社の創業一族であり、株主団体「武田薬品の将来を考える会」で代表代行を務める武田和久氏は冒頭のように話す。

「考える会」は、昨年12月の臨時株主総会でシャイアー買収が承認されるまで、買収にかたくなに反対し会社側と敵対してきた。今は「買収してしまった以上、統合のことを考えるしかない」(武田氏)と、姿勢を軟化させている。

武田薬品の“足かせ”

だが、武田氏を含め「考える会」の懸念は依然強い。とくに気をもむのが、シャイアー買収のために借り入れた資金に付された「財務制限条項」。同条項では、借り手の財務が一定基準より悪化した場合、貸し手は融資額の早期一括返済を求めることができる。

武田薬品にはめられた“足かせ”は、今年6月に公表された「20-F年次報告書」(米証券取引委員会に提出の書類)と「有価証券報告書」で確認できる。そこでは、最も重い条件として国際協力銀行からの借入金37億ドル(約4000億円)に「2期連続で税引き前利益が赤字にならないこと」と記されている。

これに抵触すれば、約4000億円の早期返済を求められることになる。早期返済を回避できない場合は他行からの借入金の一部についても早期返済が連鎖的に発生する、「クロス・デフォルト条項」までついている。