入札でシェルに競り勝って、三菱商事と中部電力が取り込むオランダのエネコ。売上高は約5000億円で、約600万件の顧客を有する(提供:Eneco)

脱炭素の風が強く吹く欧州で、三菱商事と中部電力による日本勢がオランダの電力会社エネコ買収に向けた優先交渉権を獲得した。今回は民営化に伴う売却入札で、競り合っていたロイヤル・ダッチ・シェルなど欧州勢を下した。

エネコの直近の売上高は5000億円。オランダのほかにベルギー、ドイツで電力事業を展開しており、再生可能エネルギー(発電容量120万キロワット)に強い電力会社として定評がある。

日本勢が、発電から小売りまで行う大型の事業会社を買収するケースはほとんどなかった。買収に投じる費用は41億ユーロ(約5000億円)で、三菱商事が8割、中部電力が2割を拠出する。両社は2017年にドイツの洋上風力向け海底送電事業で協業して以降、欧州の電力事業でさらなる協業機会を模索。今回のエネコの共同入札に至った。

石炭火力は「座礁資産」

三菱商事はこれまで洋上風力発電プロジェクトなど電力ビジネスの上流を得意としてきた。とくに最近は再エネの開発に力を入れている。来年夏前までにはエネコの全株式を取得する見込みで、買収が完了すれば、建設中のものも含めて三菱商事の再エネの発電容量の持ち分は約300万キロワットまで拡大する見込み。

目下、電力事業では気候変動問題を背景に、CO2(二酸化炭素)の排出量が多い発電方式がやり玉に挙げられている。とくにCO2排出量の多い石炭火力発電所は資産価値が大きく毀損する可能性がかねて指摘されており、業界では「座礁資産」と呼ばれている。