世界の鉄鋼業界が、中国のちぐはぐな動きに振り回されている。今年1~6月の中国の粗鋼生産量は4.9億トン(前年同期比9.9%増)で過去最高だった。この3年ほど中国政府は過剰生産能力の削減に取り組んできたが、今年に入って生産量が増加基調なだけでなく設備能力の拡大計画も打ち出されている。

米中貿易摩擦の影響を緩和するために中国政府はインフラ投資を活発化させようとしているが、資金調達などの制約で実行は遅れ気味だ。実需の停滞を受けて中国の10月の粗鋼生産量は0.6%減と、3年半ぶりに前年同期比マイナスとなった。それでも在庫がだぶついて鋼材価格が下がるのでは、あるいは安値で輸出に振り向けられるのではないかと懸念されている。

増産量を2倍に誇張

こうしてみると、今年前半の粗鋼生産量の急増はいかにも面妖だ。その謎に挑むリポートを資源メジャーのBHPビリトンがまとめた。中国の粗鋼生産量は誇張されており、実際の伸び率は公表値の半分ほどだとする。原料炭や鉄鉱石の消費量、製鋼・圧延の設備能力などを総合的に分析した結果だ。