たかい・ひろゆき 神戸大学経営学部卒業、住友商事入社。非鉄金属本部で17年間、うち7年間は英国ロンドンで貴金属や、銅・アルミなどベースメタルの取引を担当。その後、金融事業本部長やエネルギー本部長を経て、住友商事グローバルリサーチ社長。2018年4月から現職。(撮影:梅谷秀司)

大統領選挙まで1年を切った米国では、トランプ支持か不支持かで世論を真っ二つに割る分断政治が激しさを増している。そんな二極化する米国社会でも超党派で一致するのが、中国を米国最大の脅威と見なす動きである。

この反中の流れは一見、トランプ大統領が主導しているかのようだ。しかしそれは表層的な見方である。今の反中の動きは長い年月をかけて米国内で醸成されてきたもので、トランプ政権の通商政策が引き金となってパンドラの箱が開いたとみるべきだ。

米国は長年にわたって対中国で極めてオープンな政策をとってきた。開かれた社会の価値観で包み込むことで、中国の一党独裁体制が変化して民主主義が生まれ、ルールを重んじる国際社会の一員に進化してくれるという期待があった。だが、現実には期待は見事に裏切られ、気がつくと中国は米国の寛容さを悪用して経済・技術・軍事面で自分たちを脅かす存在になってきた。米国にはそうした怒りを含んだ危機感がある。