2019年、金融財政分野で最も話題をさらったのは、MMT(現代貨幣理論)と新デジタル通貨・リブラだろう。

「自国通貨建てであれば、政府は財政赤字を気にせずにいくらでも借金できる」というMMTの極端な主張について、本誌はたびたび批判してきた。だが、MMTはそのベースとなる貨幣論の部分では、一般的なポストケインズ学派の内生的貨幣供給論を共有しており、実は違和感が少ない。むしろ、低インフレは金融政策だけで脱却できると説いた主流派経済学の貨幣数量説が説得力を失っただけに、通貨の説明ではMMTに分がある。

MMTの核心は、負債(借用証書)が通貨の役割を果たすという部分だ。政府は国債を発行し、中央銀行は金利操作のためにその国債を市中で購入して民間銀行の準備預金に置き換える。この国債と準備預金という統合政府(政府+中央銀行)の負債こそが通貨の根源だとMMTは説く。