ウナギの人工ふ化・初期飼育に成功した近畿大学水産研究所の升間所長(撮影:大澤 誠)

養殖に必要な稚魚の減少が問題となっているウナギに、明るい兆しが見えてきた。今年、近畿大学水産研究所が、ニホンウナギの人工ふ化、稚魚の初期飼育(50日間)に成功したのだ。同研究所は、完全養殖を実現したクロマグロをはじめ、ブリやヒラメなど数々の魚種の人工ふ化と種苗生産を成功させており、期待は高まっている。

こうした先端研究は、近大農学部や大学院農学研究科の学生にもメリットがある。卒業論文や修士論文のテーマに選ぶと、実験場でフィールドワークができるからだ。宿泊費や食費は無料で、半年間滞在できる。「現地実習をした学生に対する、企業の注目度は高い。先日も養殖業の経営者からうちに欲しいと言われた」(升間主計・水産研究所長)。

資源枯渇や貿易自由化、人材の高齢化など、「食」「農」の世界は問題が山積み。その問題に立ち向かう若い人材は引く手あまただ。

食と農全体を知る教育

そんな現状に着目し、近年、関西圏の大学は「食」「農」に関する学部を次々と開設している。

まずは龍谷大学。2015年、滋賀・瀬田に農学部を開設した。農作物の生命の仕組みを学ぶ「植物生命科学」、栽培技術の習得を中心とした「資源生物科学」、健康・栄養を考える「食品栄養」、地域や経済の問題を学ぶ「食料農業システム」の4学科がある。「食や農の分野で地域連携や社会貢献ができる、現場目線と基礎学問を身に付けた人材を輩出する」と大門弘幸農学部長は言う。