ながもり・しげのぶ 1944年京都府生まれ。67年職業訓練大学校卒業。73年日本電産を設立。HDD用モーターやM&Aで業績を伸ばし、2014年度に売上高1兆円突破。18年3月に京都学園大学(現京都先端科学大学)を運営する学校法人京都学園(現学校法人永守学園)の理事長に就任。同年6月から日本電産会長(CEO)。(撮影:ヒラオカスタジオ)

「期待する人材がまったく出てこない」。今年4月に京都先端科学大学の入学式で既存の大学教育に対する強い不満を語った永守重信理事長。世界一のモーター企業・日本電産のトップでもある永守氏に、私財を投じてまで大学教育を変えようとする信念と、その方向性を聞いた。

──75歳になった今年、人生後半戦として新たに「50年計画」を立てました。京都先端科学大はどのような位置づけですか。

日本電産を設立した1973年当時、50年後に1兆円企業になることを構想していた。当時は「1億円の間違いでは」と話す人もいたが、予定より早く達成できたので75歳の誕生日に合わせて新50年計画を3カ月かけて作った。つまり、125歳まで生きるということだ(笑)。

その人生後半の目標の1つが教育だ。自分のような経営者を3人でも5人でも出したいという強い願いがある。そこには今の大学教育はダメだという思いもある。

人材の採用側にいると、ひどい人材ばかりが出てきているのがわかる。専門性がなく、言葉もうまく使えない。大学は何をしているのだと疑問を感じた。

一流大学を出ていても、結局は暗記やテクニックで入学した人たちが多い。それではダメだ。現に世界大学ランキングでは日本の大学がどんどん落ちて、東南アジアの大学が上がってきている。100位以内には東京大学と京都大学のみで、早稲田大学や慶応大学は200位以内にも入ってこない。京都先端科学大は2030年までに199位以内になることを目指す。

まず授業は全部英語でやる。新設する工学部は最初から英語ができる先生を採用した。既存学部も、時間はかかるが順番に英語の授業を取り入れる。英語教育のプロとしてベルリッツの協力も得た。

工学部は入学定員200人、日本で唯一のモーター専門学部となる。これから電気自動車やロボット、ドローンのようにモーターで物を動かす時代が本格化する。ただモーターを専門的に学ぶ場所がなかった。この工学部には求人が殺到するようになるだろう。なくても日本電産が全員採用する。

京都先端科学大学の京都太秦キャンパス。来年4月の工学部開設に合わせ、南館の建設が急ピッチで進む(撮影:ヒラオカスタジオ)

「偏差値教育」は問題