週刊東洋経済 2019年11/30号
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今、中学校や高校では、「STEAM教育」という、科学、技術、工学、芸術、数学を横断的に学ばせる理系教育が広まりつつある。学校現場ではプログラミングから実験までさまざまな授業が行われており、中には大学レベルの授業を行う学校もある。

背景には、IoT(モノのインターネット)やロボット、AI(人工知能)、ビッグデータを取り入れ、社会問題を解決したり、新たな技術やビジネスをつくり出したりする新社会(ソサエティー5.0)に対応できる人材を育成しようという狙いがある。

子どもたちも、より具体的な理系のキャリアプランを描く。「理系を志望する子の中には、その大学でしかできない研究があるという理由で、東京大学ではなく東京工業大学や東北大学、京都大学などを選ぶ生徒もいる」(中高一貫校に詳しい教育関係者)。

親の期待もある。アイデムが今年5月、小・中学生の子どもを持つ親3600人に聞いた「親の子供に対する就職期待とキャリア教育に関する調査」によると、子どもの文系か理系かの進路選択で、「理系に進んでほしい」とした割合は、70%に達した。

理系を勧めるのは「就職に有利」という側面があるからだ。とくに理系の女子は就職に強い。マイナビの就職内定率調査によると、2020年卒の8月時点の内定率は、理系女子88.8%に対し、文系男子78.7%と、10㌽以上の差がある。機械加工品や電子機器製造の大手・ミネベアミツミの山本洋・人事部次長は、「工学系で学んだ女子学生は人数も少ない。とくに採用したい」と語る。

理系人材を求めるのは、メーカーだけではない。WebマーケティングやRPA(ロボットによる定型作業の自動化)などビジネスの現場が大きく変わる中、それを使いこなせる人材の確保が急務になっている。さらに営業の現場でも、「法人の顧客などはコミュニケーション力よりも論理的に説明できる理系人材のほうが、ウケがいい」(銀行の人事担当者)という状況が生じている。理系人材の活躍する場が想像以上に増えている。

文系学部が多い大規模私立大学も文理融合の学部をつくり、理系教育に対応する動きがある。

東洋大学はエンジニアリング、デザイン、ビジネスなどの分野を融合した「情報連携学部」を17年に設置、中央大学も19年にITと法学系の学びを融合させた国際情報学部を開設した。また、滋賀大学を皮切りに横浜市立大学や武蔵野大学などデータサイエンス学部の開設も盛んだ。

ではどんな大学が、「理系力がある大学」といえるのか。文理の垣根がなくなり、学部名だけでは理系度を測れない。分野によって金額の規模が違う研究費で測るのも難しい。そこで作成したのが記事下の「理系度」マトリックスだ。縦軸に理系の入試難易度、横軸に学部生の大学院進学率(全学部の数値)を設定し、主要55大学のポジションを「見える化」した。院進学率を横軸にしたのは、理系学生の比率が高い大学ほど、院進学率が高いからだ。