その昔、1990年代初頭の米ワシントンDCは、不景気で危険な街だった。犯罪率は高く、「夜は14ストリートから東に行くな」といわれたものだ。中南米系が多く住むアダムス・モーガン地区で暴動が起きたこともある。

ところがその後、街は長期にわたって好況に沸く。この街が政治という「成長産業」を有していたからだ。弁護士やロビイスト、ジャーナリスト、シンクタンク研究員、アドボカシー団体など、「頭のいい人」たちが集まってきた。政治という産業が繁盛するにつれて、メガドナーの巨額資金も流入した。情報で飯を食う人たちは会食に金をかけるから、ぜいたくなレストランも随分増えた。

しかも共和党と民主党の政権が入れ替わるたびに、新しい人たちが外からやってくる。人口が増えて不動産価格が上昇し、新しいビルが増えた。再開発は郊外にも及び、アダムス・モーガンは今や高級住宅街に変貌している。