大正大学地域創生学部教授 小峰隆夫(こみね・たかお)1947年生まれ。東京大学卒。経済企画庁経済研究所長、物価局長、調査局長、国土交通省国土計画局長などを経て、2017年4月から現職。日本経済研究センター理事・研究顧問も務める。著書に『人口負荷社会』『日本経済論の罪と罰』『政権交代の経済学』など。(撮影:尾形文繁)

鶴光太郎氏(慶応大学教授)らのグループは、近著『日本経済のマクロ分析』で、近年の日本経済を「低温経済」と表現している。確かに日本経済は、消費、設備投資が盛り上がりにくく、物価・賃金が上がりにくい状態が続いている。まさに「低温経済」と呼ぶにふさわしい。こうした経済の下では、景気判断についてもこれまでとは異なる考え方で臨んだほうがいいように思われる。

景気には山と谷の基準日付がある。この基準日付によって、景気は上昇期(谷から山)と下降期(山から谷)に二分される。現時点で確定している最新の谷は2012年11月で、ここからアベノミクス下での景気拡大が始まった。

次はどこかで景気の山が来ることになるが、その1つの有力な候補が、すでに過ぎている18年の秋ごろである。日本経済研究センターが約40人の第一線エコノミストに景気の先行きをアンケート調査する「ESPフォーキャスト調査(19年11月)」によれば、34人中8人が「すでに景気の山は過ぎた」と答えている。これら景気後退派のエコノミストの多くは、18年の10月ごろが山で、すでに約1年間、景気後退局面にあると考えている。