ベルリンの壁崩壊で「開かれた社会」はさらに進むと思われたが…(AP/アフロ)

1989年11月9日夜のベルリンの壁崩壊をきっかけに、中東欧の共産党支配は劇的に崩れていった。開かれた社会(オープンソサエティー)の波が最高潮に達した瞬間だ。

その10年ほど前から、私は「政治的な慈善事業」とでもいうべき活動に足を踏み入れるようになっていた。英ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで哲学者のカール・ポパー氏の薫陶を受け、「開かれた社会」の熱烈な支持者となっていたのだ。

ポパー氏はこう教えてくれた。人間は全知全能ではありえず、全体主義が喧伝するように指導層が全知全能であることもありえない。全体主義とは国民を弾圧することなくしては成り立たないイデオロギーなのである──。