データは次のオイルだ、といわれる。20世紀には石油の覇権が国際経済を左右し、時に戦争をも巻き起こした。21世紀にはデータがそうなるだろうというのだ。収集、精製、活用というプロセスもよく似ている。データは集めてデータベースに蓄積する必要がある。その後、重複を排除したり表記の揺れを修正したりする、データクレンジングという作業が必要だ。そして活用、となるわけだが、石油とデータの一番の違いは、この活用の難しさだろう。そこには石油と違い無限の可能性があるがゆえに、明快な方針を打ち出せている企業は多くない。欠けているピースは、「仮説思考」だ。

ニュートンはリンゴが木から落ちるのを見て万有引力の法則を思いついたという。これが実話かには諸説あるが、注目すべきは、なぜこの話が現在まで語り継がれてきたのかということだ。質量にはほかのものを引きつける力がある。こんな突飛な発想が、机の上でデータを眺め、数式と格闘する延長線上にあるとは思えない。まず着想がある。それは仮説だ。そして、その仮説を実証あるいは反証するために、どんなことをデータや数式で証明すればいいのかを考える。多くの偉大な科学的発見はこのようにして導かれてきた。ニュートンのリンゴは、この仮説思考の大切さを教えてくれる。だからこそ現在に至るまで、多くの教育者に取り上げられてきたのだろう。