「平成の大合併」と呼ばれた市町村合併で、市町村数は1998年の3232団体から現在の1718団体へと大きく減少した。国は合併を選択する市町村に対して、「市町村の合併の特例に関する法律」(旧合併特例法)による合併特例債の創設や、地方交付税の特例措置といった手厚い財政支援措置を行い、2004年から06年3月末までに多くの市町村が合併を選択した。

市町村合併に対する評価はさまざまだ。大合併の結果、行財政基盤が強化された市町村もあれば、吸収された旧市町村地域の人口減少や財政面への懸念もある。筆者らが行った定量的な分析では、関連する地域や将来世代にまたがる形で財政面での負担が増加しているという事実も明らかになった。

旧合併特例法による特例措置の期限は、合併後10〜15年間である。多くの合併団体は今、特例措置の終わりと合併特例債の償還のピークを迎えている。ここでは、大規模な市町村合併から約15年が経過した現在、合併が財政に与えた影響を改めて振り返ってみたい。

筆者は、湯之上英雄氏(名古屋市立大学准教授)と06年から継続して、市町村合併が市町村の財政に与えた影響を定量的に研究してきた。近年、財政分野における研究では、市町村合併による費用削減効果と、合併を選択した市町村の財政的な行動に注目した分析が進められている。

国が市町村合併を推進した理由には、人口減少や高齢化時代に向けた行財政基盤の強化と、「規模の経済性」による費用削減効果が挙げられる。合併で人口規模が大きくなると、公共サービスにかかる平均的な費用が減少するのだ。