もともとは無線機メーカーが集まった民間企業として発足した(撮影:Minako Iwatake)

世界の公共放送において、NHKと比較対照されるのが英BBCだ。「公共放送のお手本」といわれるBBCは、激変するメディア環境において、どんな取り組みをしているのか。まずはBBCの概要から見ていこう。

BBCは、1922年に民間企業として発足し、27年に公共企業体に生まれ変わった。当時は「市場競争に任せただけでは富の配分はうまくいかない」という考え方が政治家や知識層の間で共有され、郵便体制、漁業、水道、電力事業が公共企業体として次々と組織化されていた。

「政府から独立した公共サービスとして、できるだけ多くの人に高水準の番組を届ける」。これがBBCの初代会長ジョン・リースによる経営の基本である。「視聴者に情報を与え、教育し、楽しませること」というミッションは、現在も変わっていない。

英国で最初にできた放送局がBBCであった意味は大きく、その後にできた主要な民放にも「放送業は公共サービスの1つである」という概念が根付いている。

その象徴といえるのが、BBCやITV、チャンネル4、チャンネル5などの主要局が加入する「公共サービス放送(PSB)」という枠組みだ。PSB免許を得る放送局は番組構成に規制がかかる。具体的には、番組内容に多様性があること、オリジナルの番組が一定数あること、ニュース報道には偏りがないことが定められている。

視聴時間は民放を凌駕