きうち・たかひで 1987年から野村総合研究所所属。日本経済の分析、ドイツ、米国で欧米の経済分析を担当。2004年野村証券に転籍、07年経済調査部長兼チーフエコノミスト。12年7月から17年7月まで日本銀行政策委員会審議委員、この間独自の視点で提案を行う。17年7月から現職。(撮影:尾形文繁)

ECB(欧州中央銀行)のドラギ総裁が10月末をもって8年間の任期を終えた。ドラギ氏は就任後間もない2012年に、「やれることは何でもやる(whatever it takes)」という言葉で有名となった。積極的な緩和政策によって、欧州債務危機に揺れる欧州金融市場の安定回復に努め、評価を得た。

ドラギ氏の任期中、米国FRB(連邦準備制度理事会)の政策手法は市場との対話とFRB内コンセンサスの双方を重視する傾向を強めていった。他方、ドラギ氏の政策手法は、市場との対話よりも市場の期待の誘導を図るもの、理事会内のコンセンサスよりも総裁のリーダーシップを優先させるものであったといえる。この点で、時代の流れに逆らう側面もあった。

市場の期待の強いコントロールを目指す政策手法は、日本銀行に引き継がれた感があるが、それは失敗に終わっている。