柳川範之 東京大学大学院教授(やながわ・のりゆき)1963年生まれ。慶応大学通信教育課程卒業。93年東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。経済学博士(東京大学)。東京大学助教授などを経て2011年から現職。主著に『法と企業行動の経済分析』『独学という道もある』など。(撮影:今井康一)

われわれは無意識のうちに、年齢を基準に物事を考えすぎているのではないだろうか。最近の技術の進展や社会の構造変化は、ある意味で、その考えの大きな見直しを迫るものだ。

医療の進歩は、元気で活躍できる高齢者を増やし、今では高齢者の定義を変えようという動きも出ている。情報技術の進歩は、世界的に活躍する10代のAI(人工知能)エンジニアを生み出している。その一方で、長年の経験を積んだ中高年層が、その経験が必要とされるスキルの高さとは直結せず、学び直しの必要性に迫られている。

これらを新しい動きと感じるのは、「70代になれば、体力も衰えてリタイアするもの」「10代は、まだまだ学びの期間で、社会で活躍できる時期ではない」「50代は経験を生かした仕事ができるもの」といった、年齢を基準にした能力判断を、多くの人が暗黙のうちにしてきたからだろう。